動画に対する需要の高まりと、既存のワークフローの限界。
情報消費は、特に若年層の間で「ショート動画」へと移行しており、ニュース配信において動画の重要性がますます高まっている。しかし、従来の手作業による制作には限界がある。専門的なスキルが必要で、1本の動画制作に1時間半もかかるため、タイムリーな報道が困難だった。そのため、神戸新聞のデジタルプラットフォーム「神戸新聞NEXT」での月間配信動画数は、約30本に制限されていた。
カスタムアプリ開発による生産ワークフローの自動化。
神戸新聞社は、記事や写真の取得から、AIによるアウトライン、スクリプト、キャプションの生成、音声合成(TTS)、サムネイル、そして最終的な動画のエクスポートまで、制作チェーン全体を管理する独自のアプリを開発しました。これにより、動画1本あたりの制作時間をわずか15分に短縮し、大量配信が可能になりました。このアプリの重要な特徴は、ハイブリッドアプローチを採用している点です。スクリプトの生成にはAIを使用する一方、画像統合、音声同期、サムネイル作成には、AIではなくプログラムによる自動化を意図的に活用しています。このアプローチはジャーナリズムの信頼性を最優先しており、AIによるビジュアル生成を避けることで「偽物」のリスクを排除しつつ、テクノロジーを活用してニュース配信の規模を拡大しています。