BLOX CMS(旧「TownNews」)は、さまざまな機能が充実しているパブリッシング&収益化プラットフォームです。昔からあるベンダーが提供している古風な印象があるプラットフォームですが、カスタマー サポートは秀逸です。
- このプラットフォームは記事掲載、ウェブサイトおよびモバイルアプリの管理、読者開発、収益化を支援する機能が 1 つの環境に一元化されています。
- 幅広い機能が揃っていますが、それほど深い部分までは踏み込んでいないため、社内の技術リソースが乏しい中小規模の独立系ニュース メディアに最適です。
- 主な顧客は The St. Louis Observer Post-Dispatch、Richmond Times Dispatch、Toronto Star、College Station Eagle(すべて北米)などです。
対象顧客
BLOX CMS は、社内に技術系のストラテジストやデベロッパーがおらず、安価でさまざまな機能を簡単に利用できるプラットフォームを求めている北米の中小規模のニュース メディアに適しています。ただ、多少の違和感や旧式のインターフェースには目を瞑る必要があります。構成を変更できるアーキテクチャを使用して、コンポーネントを入れ替えたいと考えているニュース メディアや、単一のコードベースで複数のタイトルを管理したいと考えているニュース メディアには、このプラットフォームは適していません。BLOX Digital の顧客には St Louis Observer や Toronto Star といった大手出版社も含まれていますが、これらはあくまでも例外です。
概要
メインの対象顧客
小規模の独立系ニュース メディア
次点の対象顧客
中規模の独立系ニュース メディア
特に力を入れている地域
北アメリカ
サポート受付時間
メール: 午前 7 時から午後 6 時(CST)-「重大な問題」については 24 時間 365 日対応
電話: 午前 7 時から午後 6 時(CST)-「重大な問題」については 24 時間 365 日対応
ユーザー インターフェースの対応言語
英語
サードパーティによる言語サポート
利用不可
ライセンス モデル
同社は詳細を公開していませんが、ユーザー数、リポジトリのサイズ、トラフィック量に応じて決まると考えられ、価格帯は中程度と思われます。
ソリューションの概要
BLOX CMS は幅広い機能を備えたプラットフォームです。コンテンツ作成、サイト管理、収益管理の機能がしっかりと一元化されているソリューションを求めている組織に適しています。
基盤テクノロジー
PHP / SOLR
クラウドモデル
マネージド サービス(PaaS)
本社
イリノイ州イースト モーリンおよび仮想オフィス
従業員数
130
- Redesigned UI & Insights
- Collaboration & AI Tools
- User & Subscription Tools
顧客の評価
- 編集関連の機能やフロントエンドの機能が幅広く揃っており、顧客からは、その価格も他と比べて魅力的と見られている
- 有用なトレーニング動画を利用して、新人記者でも簡単に使い方を習得できる
- 顧客の間では、基本事項にうまく対処できる読者収益化モジュールの評価が高い
- 読者開発や収益化関連の機能も含め、プラットフォームをデフォルトのまま活用できるため、自前の IT スタッフが不要である
- ベンダーの社風が実直で、顧客としっかりとした信頼関係を築くことを重視している
- レポート関連のサブシステムは、特に収益指標の面で機能の拡充が進んでいない
- アーキテクチャが一体型になっているため、構成を変更できない。プラットフォーム全体を購入するしかなく、たとえばヘッドレス モードで実行することはできず、使用しているデジタル アセット管理(DAM)プラットフォームを組み込むのも難しい
- ユーザー エクスペリエンスが旧式で、やや洗練されていない印象もある。これを刷新するには、ベンダーが確保できる量よりも多くのリソースが必要になる可能性がある
- ベンダーがあまりにも無計画に新機能や代替機能を導入するため、予期しない形で機能の喪失やバグが発生することがある
- 一部の顧客から、新機能のリリース時でも、未解決の要望への対応が遅いという報告がある
- 導入を支援してくれるパートナーが BLOX Digital 以外におらず、選択肢がないため、同社の都合に依存することになる
背景
- BLOX Digital の歴史は、AP 通信のベテラン ジャーナリストが協力者とともに最初の(印刷媒体用)パブリッシング プラットフォームを開発した 1989 年に遡ります。以降、同社は印刷媒体向けとデジタル媒体向けの両方の CMS ツールを開発しています。1990 年代後半に Lee Enterprises(北米でチェーン展開している多角経営の出版社)に買収され、現在では、Lee Enterprises が手掛ける 80 の出版物すべてで BLOX CMS が使用されています。全体では、BLOX Digital のライセンスを使用している媒体は 2,100、そのうち 400 は旧式の印刷媒体用プラットフォームも使用しています。多数の記事を掲載する日刊紙や週刊紙を主な顧客基盤としており、大学の日刊紙や、地域のお店やサービスを紹介する週刊紙などのニッチな顧客もいます。
- このプラットフォームの本当の価値は、コンテンツ作成、ウェブサイト管理、収益化の機能が 1 つのソリューションにしっかりと一元化されていることにあります。大量の記事を掲載するニュース メディア向けの設計になっていますが、大学の学生向け新聞などの利用者も、世界各地を回る報道機関のスタッフも、簡単に導入できる点を高く評価しています。BLOX CMS 以外に、印刷管理用に(若干旧式ですが)TotalCMS(tCMS)を使用することもできます。
- コンテンツ マネジメント システム(CMS)のインターフェースは雑多で、見た目は少し古い印象があります。優れている点もあります。たとえば、記事作成インターフェースは機能が充実していて、ページやセクションを非常に細かく管理できます。便利な共同編集機能もありますが、システム全体は記事掲載を支援する設計になっており、作成から承認、掲載までのプロセスを高速化できます。ほかに便利な動画アセット管理サービスもありますが、写真アセット管理用のシンプルなサブシステムは、利用者によっては、洗練されていない、完成度が低いと感じる場合もあるかもしれません。
- UX 全般を見ると、適切に優先度を決めずに顧客からの多数の要望に応えようとしたという印象があります。顧客からは、幅広い機能が揃っているものの、深い部分まではカバーできていないという声があがっています。たとえば、さまざまなタイプの自動メールを簡単に設定できますが、メール自体はプレーン HTML で作成する必要があります。理論上は、BLOX CMS の各種機能でニュース メディアのほぼすべてのユースケースに対応できます。しかし実際には、小規模な顧客の多くは BLOX Digital に環境設定を任せ、以降はそのまま運用し、調整が必要になったら再び同社にサポートしてもらうという形になっています。
- 読者管理のモジュールもプラットフォームに組み込まれています。登録ウォールからペイウォール、PayPal 型の決済モジュールまで、さまざまな機能がデフォルトで揃っており、完成度が高いようです。
- BLOX CMS はこうした特長から、社内に技術系のストラテジストやデベロッパーがおらず、安価でさまざまな機能を簡単に利用できるプラットフォームを求めている中小規模のニュース メディアに適しています。現時点では対応言語が英語のみのため、米国やカナダの英語圏に拠点を構えているニュース メディアに特に適しています。BLOX Digital の顧客には St Louis Observer や Toronto Star といった大手出版社も含まれていますが、これらはあくまでも例外です。
- BLOX Digital は米国のニュージャージーにあるデータセンターに CMS をホストしており、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)も付随しています。各タイトルが別々のテナントとして扱われますが、シンジケーションによって複数のプロパティ間でコンテンツを共有することもできます。編集者は 1 つのログイン情報ですべてのタイトルにアクセスできますが、BLOX CMS は、複数のタイトルを扱っているサイトで、コンテンツだけでなく機能やカスタマイズ設定も共有したい場合にはあまり適していません。
- デベロッパーは、人気の高いオープンソースのテンプレート モジュールである「PHP Smarty」と同様のテンプレート エンジンを導入しています。一部の中規模ニュース メディアは、社内のデベロッパーにテンプレートなどの設定を任せていますが、ほとんどの利用者(特に小規模な会社)は、そうした設定については BLOX Digital のサービスチームに頼っているようです。そのため、標準テンプレートの枠組みに収まらないマイクロサイトの展開に苦労している利用者もいます。いずれの場合でも、BLOX Digital にはチャネル パートナーがいないため、高度な作業については同社に頼るしかありません。
- Drupal や WordPress のように、サードパーティのカスタム アプリケーション用の「プラグイン」モデルはないのでご注意ください。BLOX Digital は、高度なメール ニュースレターやマーケティング用に、Constant Contact などの緊密に統合されているプラットフォームを再販しています。
- まとめると、ベンダーが顧客の成功を支援することを中心に据えて開発に取り組んだ、機能が充実したプラットフォームです。ですが、特にアーキテクチャに技術的負債があります。また、同社の最近の財務報告書からは収益が減少していることが見てとれ(印刷媒体関連の収益減が原因)、今後大規模な刷新を推進するのに十分なリソースを確保できるかどうかは疑問です。
パッケージのスコープ(ベンダーの報告に基づく)
コア プラットフォーム - 製品にバンドルされているプラットフォーム(はい / いいえ / ベータ版) | アドオン(はい / カスタム / サードパーティ) | |
---|---|---|
コンテンツのライフサイクル: 作成 / 分類 / 編集 / 承認 / 公開 / 別の用途に利用 / アーカイブ / 破棄
|
はい
|
|
基本的なデジタル / 音声 / メディア アセット管理
|
はい
|
|
印刷出版をサポート
|
いいえ
|
はい
|
シンプルな SNS 上の再公開
|
はい
|
|
オプションのモジュール: フォーム / アンケート / ソーシャル ウィジェット / その他
|
はい
|
|
コネクタ ライブラリ(OOTB コネクタ、API など)
|
はい
|
|
バンドルされた CDN(DDOS 対策機能を含む)
|
はい
|
|
ユーザー登録
|
はい
|
|
定期購読管理およびフルフィルメント - デジタル
|
はい
|
サードパーティ
|
定期購読管理 - 印刷
|
いいえ
|
|
パーソナライズ
|
はい
|
サードパーティ
|
広告管理 - デジタル
|
はい
|
サードパーティ
|
広告管理 - 印刷
|
いいえ
|
|
モバイルアプリ管理
|
はい
|
サードパーティ
|
サイト検索
|
はい
|
サードパーティ
|
コンテンツと割り当てのプランニング
|
はい
|
|
動画管理 / OVP
|
はい
|
サードパーティ
|
音声管理 / ポッドキャスティング
|
はい
|
|
データの可視化
|
はい
|
サードパーティ
|
個人広告
|
はい
|
サードパーティ
|
コメント入力 / コミュニティ機能 /
|
はい
|
|
ニュースレターの作成と管理
|
はい
|
サードパーティ
|
通知とアラート
|
はい
|
|
A/B テスト
|
いいえ
|
|
SEO
|
はい
|
|
変数の継承による複数タイトル管理
|
いいえ
|
|
複雑なレイアウトとサブサイト / サブセクションのクローン作成
|
はい
|
|
AR / VR 拡張サービス
|
いいえ
|
|
一般公開ドキュメント
|
はい
|
|
オンライン ユーザー / パートナー フォーラム
|
はい
|
|
定期的なユーザー グループ ミーティング
|
はい
|
|